おとなチャレンジ

やりたいことをやりたいように。総合職二児ワーママの仕事、こどもの教育、趣味との試行錯誤ブログ。

舞台配信はありがたいが、集中できる環境じゃないとやっぱり無理だった

SMOKE、という韓国ミュージカルがある。
その日本版が今再演されている。
好きな俳優が出るので、観に行きたいと思っていた。

しかし、キャストが複数で構成されており、好きな俳優が出るのは、関東だけだった。(公演は東京と大阪で開催予定だった)
このコロナ禍。関東圏外の自分。ワクチン接種済みとはいえ、家族もいる。残念だったが、諦めることを選んだ。
(もしコロナ禍じゃなければ、行っていたと思う。我が家には幼児がいるが、好きなものは基本的に取りに行きたい派である)

関東とそれ以外の演劇に関する格差って、本当にすごい。
まず公演できる場所が限られている。加えて、公演回数が圧倒的に少ない。
これは、演劇の特性によるものが大きいと思っている。
演劇は、クローズドな世界だ。場所を定め、そのなかで世界観を作り、そこに来た人間と空気を共有することによってできる虚構の空間。それゆえに、その空間に行く機会をあえて選ばなければ、体験することはない。
もちろん、たまにテレビで放映されたり、公演のDVD・BDなどが発売されてはいるが、やはり画面で一部を切り取ったものを見るより、生で観たからこそ見えるもの、伝わってくるものは多い。
だから、演劇を観る機会自体が少ない関東以外在住の人間は、必然的にその面白さに気づく機会が少ない。気づかなければ、機会があっても行かない。行く人が少ないと、ニーズなしと判断されて、主催者側も関東のみの公演にしたり、地方に行っても公演数を押さえたりする…そんな負のスパイラルに陥っている。というのは私の仮説だが、十数年間の観劇の経験から、あながち間違いではないと感じている。
そして、そのために、関東圏外民としては、時に歯がゆい思いをすることになる。

元々がそんな土壌だったが、コロナ禍になり、「映像配信」という手法が普及してきた。
前述の通り、どうしても映像だと伝わってくる情報量は少ない。けれども、どうしても現地にいけない人が機会を得られる貴重な手段となりうる。また、多くがリアルタイム配信なので、離れていても同じ時間を共有できている、というある種の嬉しさが得られる。
私のような人間には、本当にありがたいシステムだ。

ただし、それには「集中」という環境が必要である。

画面のなかで役者が動く、話す、歌う。
それをひたすら追っていくことで、話の筋を知って、世界観に浸っていく。
没入することが大事なのだ。


さて、当日の私の視聴環境だが、子ども2人を見ながらのワンオペ状態だった。
開始は19時。
奇跡的にはやくご飯が終わり、お風呂にも入れ、あとは寝るまで歯磨きと遊ぶだけになったのは18時50分だった。
そこからは、鬼の形相でチケットを購入し、タブレットをセットした。普段遊ぼうと行ってくる子どもも母の気迫に押されて2人で遊んでくれていた。
開始後。
最初は物珍しげに見ていたが、途中から遊び出す子どもたち。タブレットのイヤホンを取られる。タブレットの電源を落とされる。途中、興味を失ったように別の遊びをしているかと思いきや、またこちらに寄ってくる。
様々なハプニングに頭を抱えながら必死で話を追おうとするが、台詞や歌がブツ切れになり入ってこない。途中から、もう諦めてイヤホンをはずし、BGMがわりに聞くことに徹した。


そんなわけで、大した感想は書けないけれど、中途半端な観賞でも、色々思うところはあった。
まずセットが面白い。
舞台が劇場の中央に設置され、周りを囲むように客席がある。舞台と客席の間には、ガラスっぽい壁で仕切られ、そこがどこかひとつの部屋であることが分かった。
この区切られた空間が、「部屋」という概念から、話が進むにつれて意味を変えていく。謎の多い設定が、一瞬で瓦解する瞬間があるのだが、それがとても面白かった。
また、役者もとてもよかった。
3人という少人数のパーティ。さらにダブル・トリプルキャストという状況で、一公演が一期一会。
そんな状況において、それぞれが発するものがうまく重なりあい、心地いい緊張感がずっと続いていた。あと単純に、歌もうまい。好きな俳優の歌をめちゃくちゃに浴びたいと思っていた私には涙モノだった。
ストーリーとしては(すべて追えていないので多くは語れないが)、さっきも言ったが、謎の多い設定からのどんでん返しがよかった。前半と後半でガラッと受けとる印象が変わるのも面白い。特に後半は聞けなかった部分が多いので、じっくり聞くとまた言葉の持つ意味に色々と気づけることがあったと思う。

関西での公演を実施する劇場では、おそらくそんな作りは出来ないのではないか。役者をあんな近くで観られないのではないか。
色々な疑問が湧いてくる。
やはり、生で、現地で観たかったと思わされた。
そんなわけで、チケットを取れる日を模索している。